あらかじめ内装や家具が設置された状態で入居できるオフィスを、セットアップオフィスといいます。セットアップオフィスには、どのようなメリットがあるのでしょうか。

今回はセットアップオフィスとは何か、利用するメリット、居抜きオフィスやシェアオフィスとの違いなど、それぞれの内容について詳しく解説します。

セットアップオフィスとは

セットアップオフィスとは、具体的にどのようなオフィスのことを指すのでしょうか。

まずは、セットアップオフィスの概要と他のオフィスの違いを紹介します。

セットアップオフィスの概要

セットアップオフィスとは、貸主（オーナー）によってオフィス向けの内装や家具などが用意された状態で、すぐに業務を開始できる賃貸オフィスの一種です。新たにオフィスを設立するために、内装やオフィス家具をゼロから買い揃える必要がありません。

すでに内装や什器が整った状態で貸し出されるオフィス物件ですが、居抜きオフィスとは違います。それぞれの違いを把握し、最適なオフィスのタイプを選びましょう。

居抜きオフィスとの違い

居抜きオフィスとは、退去する前のテナントの内装やオフィス家具をそのまま残した状態のオフィスのことです。セットアップオフィスは、貸主が内装や家具を設置したオフィスであるのに対し、前のテナントのデザインやレイアウトが引き継がれる点が居抜きオフィスとの違いです。

居抜きオフィスは、前のテナントがどの程度家具を置いていっているかがそれぞれ異なり、場合によっては不足しているオフィス家具を買い足さなければならなかったり、必要に応じて内装を変更したりしなければなりません。

シェアオフィスとの違い

シェアオフィスとは、複数の企業が共同でオフィススペースを利用する形態のことです。オフィス家具や設備、会議室などを共有し、1つの空間を複数の企業や人が共有します。低コストで利用できるというメリットがありますが、他社と共有するためプライバシーやセキュリティ体制に不安があります。

セットアップオフィスとシェアオフィスの違いは、他企業とのスペースの共有を前提としているかどうかです。シェアオフィスはその名の通り、他の企業と1つの空間を共有して利用することが前提となっていますが、セットアップオフィスはそうではありません。

また、契約期間もセットアップオフィスは長期になることが前提であるのが一般的です。

セットアップオフィスのメリット

セットアップオフィスには、以下のメリットがあります。

・手間や時間を削減し、すぐに入居できる

・オフィス移転の負担を削減できる

・社員のモチベーション向上につながる

・原状回復費用の削減

それぞれのメリットについて、デメリットと併せて詳しく解説します。

手間・時間を削減し、すぐに入居できる

セットアップオフィスのメリットは、何といっても内装工事の手間がかからないことです。内装工事に関わる手間と時間が丸ごと削減できるため、ネット環境を整備するだけで業務を開始できます。

オフィスの移転は、通常の場合はある程度の時間を必要とし、その期間は業務が停止することもあります。セットアップオフィスを利用することで移転にかかる時間を最小限にすれば、業務の再開もそれだけ早くなり損失を抑えられます。

オフィス移転の負担を削減できる

オフィス移転の負担を軽減できる点もメリットです。

前述の通り、内装のデザインやレイアウト、オフィス家具などを一から決める手間がかからないため、オフィスのセットアップに必要なコストや時間を削減できます。オフィス移転の負担は意外と大きなものです。負担の削減は会社にとっても従業員にとっても、大きなメリットと言えるでしょう。

社員のモチベーション向上につながる

セットアップオフィスにはレストラン席やフォンブースなど、人気の設備が用意されていることが多く、社員のモチベーション向上につながるメリットもあります。

セットアップオフィスの中にはデザイナーズオフィス物件もあり、魅力的なオフィス環境は従業員のモチベーション向上に寄与します。また、来訪者にもプラスの印象を与えるなど、取引先や求職者にも良い影響を与えられるでしょう。

原状回復費用の削減

セットアップオフィスは通常オフィスのように完全に原状回復を行うことは少ないため、原状回復費用の削減も期待できます。初期費用だけではなく将来的な退去費用も抑えられる点は、セットアップオフィスならではのメリットと言えます。

なお、物件や契約内容によっては原状回復費用がかかることがあるため、契約前に必ず確認しておきましょう。

セットアップオフィスのデメリット

セットアップオフィスには、メリットだけではなく以下のようなデメリットもあります。

・自由に内装を決められない

・一般的なオフィスよりも賃料が高い傾向がある

・ニーズは中小規模の物件に集まっており、大規模物件の物件数は少ない

セットアップオフィスは便利なサービスですが、その一方で常にある程度の制約が発生せざるを得ない一面もあります。利用を検討する際には、上記のようなデメリットについても理解しておきましょう。

セットアップオフィスが向いている企業

ここまで、セットアップオフィスの概要やメリットとデメリットをご紹介しました。

その内容を踏まえて、セットアップオフィスが向いている企業の特徴を2つご紹介します。

入居を急いでいる企業

入居を急いでいる企業は、セットアップオフィスの利用がおすすめです。セットアップオフィスはネット環境を整えればすぐに入居・稼働ができるためです。

現在入居しているオフィスビルの解体が決まり、急な移転を迫られるケースなど、移転を急いでいて内装工事に時間をかけられない企業はセットアップオフィスの利用をおすすめします。

信用度の高いオフィスを望む企業

初期費用を抑えながらグレードの高いオフィスを確保したい企業も、セットアップオフィスが向いています。デザイナーが内装を決めたオフィスもあり、セットアップオフィスのデザイン性は高めです。時間をかけずに印象が良いオフィスを利用したいベンチャー企業には、多くのメリットがあるでしょう。

まとめ

内装も家具も揃った状態で賃貸契約できるセットアップオフィスは、スタートアップ企業や急な移転を予定されている企業におすすめです。

メリットとデメリットを把握した上で、セットアップオフィスの利用を検討しましょう。